事件は、ローズが14歳の誕生日をむかえる直前に起こりました。ワールドヘラルド新聞社主催のネブラスカの児童の絵画コンクールが開かれ、ローズの絵がべストアーティスト賞に選ばれたのです。
受賞作品は白黒のインクで描かれ、タイトルは「誘惑」。子供にはふさわしくないテーマとプロのような技術をもった絵に対して疑問をもった編集者たちは、ローズを新聞社に呼びたずねました。「誰かに手伝ってもらったのかい」「模写した絵はどれだい」―ローズは答えます。「自分で描きました。」それでも信じられない編集者たちは「じゃ、ここでなにか別の絵をかいてくれるかい」と言いました。
ローズはなぜそんな質問をされるのか、なぜいつも自分の部屋で描いている絵にこれほど大人が大騒ぎするのかわかりませんでした。が、大人たちがじっと取り囲む中、大空にむかって手を上げている女性の絵をイメージ豊かに見事に描き上げました。そして編集者たちはまるでマジックをみせられたかのようにたがいの顔を見合せました。 |