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ローズオニール物語
 
 
Web連載 ローズオニール物語10話
「キューピーの誕生」
 

キューピーの誕生
Ladies’ Home Journal
1909年12月号

キューピー第2号
Ladies’ Home Journal
1910年1月号

 
 

 1909年、レディスホームジャーナル誌12月号-アメリカの人々にとって最も大切なクリスマス号で、ついに「KEWPIE」はその誕生を迎えました。もちろん、イラストも詩もローズオニール作。記念すべき一作目のタイトルは、「The KEWPIES' Christmas Frolic (キューピーたちのクリスマスのいたずら)」そしてその横には、by Rose O’Neill-illustrated by the Author.と書かれています。ローズはここで登場する個々のキューピーたちに名前をつけました。ワッグ、クック、アーミー、カーペンター、ケアフルオブヒズボイス、オールウエイウエアヒズオーバーシューズ。この6人のキューピーが最初にローズから名前をもらったキューピーたちです。この物語のイントロは次のような詩ではじまっていました。

 

チーフは、気品のある面立ちで
いちばん先頭をかざる
そしていさましくキューピークックがつづく
エプロンがゆれている
(彼のもっともおとくいはハムエッグ)
つぎのキューピーアーミーは注意深く進行
彼は、横に立派なサーべルを持っている
彼の勇ましく歩く姿は大評判
そして、カーペンターがやってくる
べルトにハンマーをゆらし
とおりすがりにハンマーを打ちながら

つづいて とんだり はねたり
ひとりはウールのスカーフを巻くのが好き
声に気をつかっているキューピー
ひとりは雪やどろんこから足を守る
オーバーシューズをはいて健康をまもる
(かしこい…習慣!)


   
 

 

キューピーの大きな特徴のひとつであるトップノット(とんがった巻き毛)の誕生には、いろいろな説が伝えられています。ローズ白身も、本や雑誌の中でまたインタビュ一でも、いくつかのお話を述べています。その中のひとつ「かぶらのしっぽ」のお話をご紹介しましょう。キュ-ピーが最初に登場した1909年レディースホームジャーナル12月号のキューピーページの最後にこんなコメントが掲載されています。

『注:なぜこれらの楽しくまるまるとした創造物がキューピーと呼ばれる(QとPをいっしょにしたQPと発音する)理由は、彼らが小さなキューピッドのようにみえるからです。小さな羽根もついているでしょう。「Kewpie」は小さなキューピットのこと。ちょうどパピィが子犬を示すように…。彼らのつんとしてカーブしたトップノットについては、納屋で見つけたカブラからアィディアがきています…』いかにもローズらしい、ユーモラスな「かぶらのしっぽ」由来説です。もうひとつの有名な由来は「幼い弟のべッドのねすがた(巻き毛がまくらの上で立っている)」です。少女時代から絵を描くことがなによりも好きだったローズの懐かしい想い出がそのべースになっています。これらのお話からも、わたしたちは、ローズがありとあらゆるものからすばらしい創作へのインスピレ一ションを得ていたことを知ることができます。

さて、キューピーシリーズは、あっというまに読者をひきつけ、大人気となりました。毎月、毎月、子供も大人も、キューピ一の新しい展開を心待ちにしていました。ビジネスマンたちは、キューピーのイラストを商品や広告に使用したいと次々に申しこみ、すぐにおもちゃから広告用品、布から食品の缶詰にいたるまで、ありとあらゆる物にキューピーが印刷されました。第一次キューピーブームが、すごいスピードでアメリカから世界へと発信されはじめ、雑誌はつぎつぎに新しいキューピーの絵物語を掲載しつづけました。レディースホームジャーナル誌はl909年12月号、1910年1月号2月号を掲載しました。1月号は、最新の飛行機に乗ったキユーピ一たちの冒険です。ライト兄弟が人類初の電動付の飛行を達成したのは1903年です。ローズはこの最新の夢の乗物を早速お話の中にとりいれています。現代の私たちの目には大変レトロな乗物にみえる双翼機も当時は現代のロケット以上に新しい乗り物だったといえるでしょう。

1910年9月号からウーマンズホームコンパ二オン誌がキューピーの物語をスタートさせました。レディースホームジャーナル誌では黒の1色刷りでしたが、ウーマンズホ一ムコンパ二オンでは、当時としては画期的な黒と赤の2色刷りで、雑誌社の力の入れようがうかがえます。
ウーマンズホームコンパ二オンのシリーズは、キューピーたちと丘の上に住むダーリング家の家族とのお話ではじめられました。そして1912年の9月号で新しいできごとが発表されました。The Kewpies' Planというタイトルのページには、キューピーたちに囲まれてイラストを描くローズ自身の姿が掲載されていました。そしてローズは次のような詩を書いています。「ねえ、みなさん、おげんきですか。いよいよ10月号から3年目がはじまりますよ!時はとんでいくって本当のことね。わたしたちが若いあいだに、できるだけおもしろいことをしましょう。」(つづく)

 

Woman’s Home Companion
1912年9月号


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