ローズの才能を花ひらかせるため、オニール家の人々は、彼女をニューヨークに行かせる決心をし、その費用を捻出するため、最後の1頭となった牛を売りに出しました。1898年、ローズ19才。その当時、若い娘を単身ニューヨークへ行かせることは、余りにも無謀なことであり、その上絵画で女性が成功するなどと、一体だれが信じたでしょうか。
ニューヨークへの途中で、ローズはシカゴで開催されていたコロンブスアメリカ大陸発見400周年記念ワールドフェアをおとずれています。それは彼女が、初めて多くの近代絵画と彫刻をみた最初の経験であり、それは彼女の心にしみとおり芸術の創造に大きな刺激を与えました。
大都会ニューヨーク。ローズはさっそくハーバー出版社のアルデン氏と会う約束をとりました。ニューヨークに出発する前に仕上げた〔CALESTA〕に目をとおしたアルデン氏は、言いました。「お嬢さん、小説は大人になってからお書きなさい。しかし、絵は描きつづけるべきです。あなたは絵の天才です!」アルデン氏はローズのイラストを購入し、ローズはニューヨークでの生活の確実な一歩を踏み出しました。
ニューヨークでの初めの3年間、ローズは聖レジス修道院に入り勉強をします。今までの白黒のイラストから力ラーの絵の技術を習得したのもこの頃です。口-ズのイラストはニューヨークの出版社に受け入れられ仕事の依頼も多く、学費生活費のすべてを自らの力で得ることができただけでなく、両親への仕送りも始めることができるようになりました。
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