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ローズオニール物語
 
 
Web連載 ローズオニール物語 第12話
キューピークレイズ
ローズオニールがキューピー人形にペイントしている写真

キューピーにペインティングする
ローズオニール

 
 

 ドイツの工場が送ってきたはじめてのビスクキューピー人形を見て、あまりのひどさにローズはショックを隠しきれませんでした。大きすぎる頭にやせぎすの体、みにくい顔…。「これはキューピーとはまったく違うもの。ドイツでは私のキューピ一人形を造ることは無理だ」とまで考えました。その様子をみていた妹のカリスタは、ローズにぜひドイツに行って指導することをすすめます。ローズはドイツの人形工場に行き、職人たちに細かく人形のつくり方を指導するとともに、しばらくドイツに滞在し9サイズの原型を製作しました。
工場の中で特に小さなキューピー人形が粗雑につくられているのを発見したローズは職人たちに「この一番小さな安いキューピー人形は、貧しい子供たちのためのもの。それだからこそ、特別ていねいに造ってほしい」と説明しました。その言葉を聞いた職人たちは感激し、キュ一ピー人形を心をこめて製造するようになりました。
1913年本格的にキューピー人形がアメリカで発売されるやいなや、爆発的なセンセーションを巻き起こし、その年の終わりにはアメリカ中でありとあらゆるキューピーグッズが発売されるほどになっていました。

 ドイツ製のビスクキューピー人形。セルロイドキューピー人形につづき、アメリカ製のコンポジションキューピー人形も製造されはじめます。では、人形以外にどのようなキューピー商品か発売されたか。そのごく一部をご紹介してみましょう。

 

 
・石嶮 ・キャンディ
・セルロイド製ヘアブラシ ・小物入れ
・鉛筆入れ ・ガラストレイ
・刺しゅうセット ・帽子用ビン
・子供用ドレッサー ・子供用ベッド
・子供用陶器セット ・石嶮入れ
・ドールハウス ・クリスマス靴下
・ブックマーク ・ガーター
・ハンカチ ・化粧パウダー
・化粧トレイ ・宝石箱
・裁縫箱 ・紙マッチ入れ
・セルロイド製くし ・ボタン
・子供用椅子 ・子供用机
・積木 ・イースターエッグ
・ゴムボール ・ペーパーカッター
・使警&封筒 ・人形アクセサリー
・ペーパーウェイト ・etc.

ティーセット
ティーセット

 

 驚くことに紙上では紹介しきれないほどのキューピーグッズが人形の発売からわずか1年のうちに発売されたのです。

 1914年からは、いろいろなポーズをしたアクションキューピーが登場。絵物語から飛び出してきたような可愛さがブームにさらに拍車をかけます。キューピーは広告でも大活躍します。ゼリーの素・アイスクリーム・食品の缶詰から劇場のポスターにいたるまで。この現象は、「キューピークレイズ」(キュ-ピー狂時代)とまで呼ばれるほどで、まさに現代のキャラクターブームの先駆けと言えるものです。

 町はキュ-ピーに彩られていました。こどもたちだけでなく大人もすっかりキューピーのとりこになっていました。「To see a Kewpie was to want one.キューピーをみたら、きっとほしくなる」と言う言葉が、当時の雰囲気をよく伝えています。(つづく)

 
A.CMcCL URG&CO.’S GENERAL. CATAROGUE 1915-1916

キューピー人形のカタログ”世界的に有名なキューピー”
A.CMcCL URG&CO.’S GENERAL. CATAROGUE 1915-1916

 
PLAYTHINGS 1916年10月号広告

キューピーを販売するショーウインドウ PLAYTHINGS 1916年10月号広告より

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レトロの小窓
レトロの小窓にて大正・昭和のセルロイド人形やキューピー人形・雑貨等販売中
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22.母との別れへ
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