旅行が終わった頃から、ハリーは次第にローズに対して不機嫌な態度を見せはじめます。ハリーはローズが小説を書くことも、ローズの話し声笑い声を聞くことさえ嫌がるようになり部屋に引きこもります。ローズだけでなく友人たちさえなぜハリーがそのような行動をとるのか理解できませんでした。ハリーの仕事は真剣で重苦しいもので、彼にとって仕事と遊びは全く切り離れたものでした。しかしローズにとって創作は喜びであり、まさに遊びであったのです。それをハリーは理解できませんでした。後にローズはこの頃について述べています。「…自由な気持ちで絵が描けるのは結婚して1~2年の間だけでした。彼はまるでわたしを知性が欠けているかのようにいつも扱うのです」天性の才能にあふれた自然の子ローズを大きく包み込むには、ハリーは余りにもストイックで生真面目すぎたのかも知れません。
悩みぬいたローズはハリーから離れ、ボニーブルックへともどります。ボ二-ブルックこそ、ローズがもっとも自由になれ自然でいることのできる場所なのです。母ミミーはローズを慰め、ニューヨークにもどらないことを助言します。ローズもボニーブルックへの旅の間結婚生活がこれ以上続けられないことを自分の中で確認し、ついに離婚を決意します。1917年のことです。ハリーはニューヨークに留まり、後に再婚しています。
ローズはボニーブルックの空をふたたび見上げました。ローズは、自然児でした。オーザックの自然は口-ズそのものであり、深い悲しみに傷ついた子供を大きく包み蘇らせ、キューピーの誕生にと導いていきます。(次はいよいよキューピーの誕生です)
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